
楢木氏は1947年鹿児島に生まれ、大阪をベースに写真作品を制作、発表している作家です。彼がこれまでに発表した3冊の写真集は「人」に向き合い撮影したポートレイトで、写真の力、写真の魅力を存分に使った作品を主に制作しています。
今回の写真展では、1982年夕張の町で撮影され、これまで未発表だった作品を展示いたします。
作品について作家は次のように述べています。
「夕張は炭鉱の町である。 急遽行こうと思ったのは1982年 ちょうど35歳になった頃だった。前年の10月にガス突出事故で93人の犠牲者を出した北炭夕張はすでに閉山された後だった。閉山後 今尚そこで暮らす人々に会いたいと思った。私が歩いた炭住街は 若菜・平松・日吉・千代田・末広・本町・清水沢など一部にすぎない。しかしここでの人々との出会いは私にとってかけがえのない時間となった。
今想い返しても自分の生まれ育った場所ではない夕張がなぜこれほどに懐かしく感じられるのだろうか。 それはここの人達が付かず離れずの程よい距離を保ち 私のような他所者を見る目の温かさではないかと思う。」
路上に暮らす人やキャバレーのダンサーなど、大阪という都会の片隅で暮らす人々に向き合った作品を多く発表している楢木氏の原点ともいえる今回の作品ですが、これまで同様にネガから作家の手でプリントされた美しい銀塩写真の数々をぜひご高覧いただければ幸いです。
楢木逸郎 写真展「夕張 1982」
2026.1.14-1.31
Itsuro NARAKI
Yubari 1982
January 14 -31, 2026
作家在廊予定日
2026年 1月 17日(土) 13-15時
1月 24日(土) 13-15時
1月 31日(土) 13-15時